【フィリピン】銃犯罪の現状と関係法令/外国人が気を付けるべき事 – PHILESSONブログ

【フィリピン】銃犯罪の現状と関係法令/外国人が気を付けるべき事

フィリピンの銃社会の問題

フィリピンでは合法的に市民が銃を所持することが出来ます。もちろん適切な許可やライセンスが必要になりますが、登録されていない違法銃や密造銃の違法所持やそれを使った犯罪も多く発生しています。

外国人の場合は所持も携帯も認められていませんが銃を使った犯罪に巻き込まれる可能性はゼロではありません。今回は銃に関する規制と実際の治安の関係からフィリピン滞在中に注意すべき点をお伝えします。

誰が銃を所持できるの?

銃の所持関連についてはフィリピンの共和国法で定められており、銃の所持は21歳以上のフィリピン人で仕事や事業を行っており適切に納税をしている者であれば以下を満し申請して所定の費用を支払うことにより所持許可を得ることが出来ます。

  1. 過去に道徳的混乱を伴う犯罪で有罪判決を受けていない
  2. フィリピン国家警察認定の心理学者または精神科医による検査に合格している
  3. 薬物検査に合格している
  4. 定められた銃に関する安全セミナーを受講している
  5. 銃の有効な登録書関係書類を提出できる
  6. ポリスクリアランスの提出
  7. 過去に2年以上の罰金で罰せられる犯罪の有罪判決を受けていない、また現在係争中の刑事事件がない

ざっくり書きましたがこれらが条件になります。ちなみに法人格で銃の所持を申請することも可能でその場合は別の条件を満たす必要があります。

外出時の銃の携行は違う許可が必要

正しく登録されている銃の所持が認められたとしても住居もしくは事業所の外に持ち出して銃を携帯するには別の許可が必要になります。これは申請者が生命の危機にさらされる可能性のある以下の職業や専門家を含む個人が対象になります。

  • 弁護士
  • 会計士
  • ジャーナリスト
  • 銀行員
  • 司祭や牧師などの宗教指導者
  • 医者、看護士
  • エンジニア
  • 犯罪のターゲットになりうる可能性のあるビジネスマン

つまり銃の所持の許可は所持する場所が定められており、その場所を離れて銃を携帯して外出する場合は携帯許可が別途必要になります。その他にも細かな規定があり、選挙期間中などは特別な規定が適用されるなど法律上は厳しく規制されています。

正当防衛

私は法律の専門家ではありませんが、適切に登録された銃を許可された範囲内で自己防衛の手段として使用した場合は正当防衛が認められると思われます。

銃を所持している知人に聞くと実際に正当防衛として銃撃する前にはその対象者にその場からの退避を一度は促す必要があるらしく、相手がそれに応じない場合に撃つように指導されていると言っていました。ただこれもケースバイケースになると思います。

弁護士になるのを怖がるフィリピン人

フィリピンではよく弁護士や医者などの社会的地位の高い人が銃撃され亡くなるというニュースを目にします。またジャーナリストも同様です。弁護士は社会的地位も高く、経済的にも豊かな人気の職業である一方、このような事件の印象が強く「弁護士にはなれてもなりたくない」と敬遠するフィリピン人も少なくありません。

銃を使った犯罪

銃を使った犯罪は多いです。これは利害関係のある相手をヒットマンに依頼する場合や、夫婦や恋人、親戚、ご近所さんなどの近い人間関係のトラブルが原因で銃で撃つという場合もあります。

この場合に使われる多くの銃は出所不明の違法銃であり、もちろん登録も必要な許可も普通は取られていません。この違法銃による犯罪に巻き込まれないことがフィリピンに住む場合に気を付けるべきポイントになります。

ヒットマンがいる世界

2018年8月には日本人にも人気の観光地であるセブ島で、事業を営む日本人女性が車を運転中にバイクに2人乗りしたフィリピン人からの銃撃を受けて死亡したという事件がありました。実行犯は雇われたフィリピン人でしたが驚くことに犯行を指示したのは日本人の夫でした。

夫婦の間にどんな問題があったのかについての詳細は分かりませんが問題はバイクの2人組です。これはお金を払って襲撃を依頼されたヒットマンであり、現実にそんな人達が存在するということです。

しかしフィリピンではこのような事件は驚くことではなく、権力争いや利害関係が生じた時にこのようにヒットマンに襲撃されるという事件は珍しくありません。政治家や役人、弁護士、ジャーナリスト、人権団体の幹部、企業の経営者など様々な人が被害者となっています。

日本人が注意すべきこと

日本人の場合はビジネス関係のトラブルから被害者となる可能性があります。あまり派手にならないよう、また多くの敵を作ったりしないように上手く立ち回る必要があります。とは言っても健全にビジネスをやっていれば基本的には大丈夫です。

それよりも一般の日本人が注意すべきことはフィリピン人との些細なトラブルから銃撃されるケースです。

例えば車を運転中に起こる交通トラブルもその一つです。激怒した相手のフィリピン人ドライバーの怒りに油を注ぐようなことをしたり、侮辱したりした場合には銃を持ち出して撃たれる可能性があります。その時に実際に撃つか撃たないかは相手次第ですが、銃を車に携帯しているようなフィリピン人はプライドが高く、また本人自身がそれなりの社会的地位を持っていると思っている場合も多く、「事件を起こしても揉み消せる」と常に考えており感情に任せて発砲してくる可能性があります。

交通トラブルだけでなく、フィリピン人を巻き込んだ浮気やご近所トラブルなどで銃を使ったトラブルに発展することもありますので注意しましょう。

違法銃はフィリピンでは簡単に手に入ります。密造銃などは価格も安い為にその辺のフィリピン人が隠し持っていることもありますので、フィリピン人とのトラブルは相手に非がある場合でも極力避けましょう。

最後に

銃に関連する法律があるにしても実際のフィリピンの現状は無法地帯です。銃を使ったホールドアップやお伝えしたような些細なことから命の危険に発展する事態になることもあります。一番注意すべきはフィリピン人のプライドを傷つけて激怒させないようにすることです。そんな相手が一度銃を取り出したら引っ込みがつかなくなることは多いです。これらのことを頭に入れて銃犯罪の被害者にならないようにフィリピンで生活しましょう。

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