ギリシャ語からの造語で、どこにもない場所の意味
繁栄と衰退
トップユーチューバーの稼ぎは年間数億円とも言われ、今や2020年の子供がなりたい職業ランキングにおいてゲームクリエイター(プログラマー)に次ぐ第2位にまでなるほど人気を博している。まさに繁栄を極めるYoutube業界。
今後数年の市場規模も拡大が予想されているが本当にそうなのか。コインに裏表があるように繁栄には衰退がつきもの。そしてそれは予想に反して早く訪れる、それを証明するいくつかの重要な理由と問題点をいくつかあげてみよう。
広告の費用対効果
ユーチューバーの基本的な収入は言わずと知れた動画内に流れる広告による収入。得られる金額の目安は1回再生されるごとに0.05~0.1円程度と言われている。仮に0.1円だとした場合、100万回再生されれば10万円だが100万回も再生されるコンテンツを作りだすのは至難の業だし単発では生活することは出来ない。それでもユーチューバーとして生活していくには閲覧される動画を作り続けるということをしなければならない。
ユーチューバーの立場は基本それに尽きるが動画内に広告を載せる広告主側の事情はそんなに単純ではない。果たして動画内に配信する広告から得られる効果は本当にあるのだろうか。この疑問に広告主も気付き始めているのである。
これはYoutubeで動画を見ている皆さん自身が体感していることそのもので、広告は邪魔な存在そのものでしかなく、もはや多くの場合は何度も繰り返し見せてサブリミナル効果を期待するようなものになりつつある。
Youtubeの苦悩と規制
私は遅かれ早かれYoutube内の多くの動画が大規模に規制され削除の対象になると思っている。特に卑猥なコンテンツに大義名分をつけて別の趣旨にすり替えているような動画である。ビデオデッキがアダルトビデオとセットにして爆発的に普及したようにアダルト要素を含む動画は比較的簡単にチャンネル登録者数と閲覧回数を伸ばすことが出来るのだが今の社会では最良の方法とは言えない。
誰でも見れるYoutubeにそのような動画がアップされているのはYoutube側としても好ましくない。理由の一つに視聴者からのクレームもあるが、もっと重要なのはスポンサーである広告主への対応があるからである。
自社の広告がそんな動画に流れるというはほとんどの企業が望まないことであり、企業イメージを損ねてしまう。Youtube側も広告主側もせめて健全な動画が閲覧回数を伸ばしてくれればいいのだが実際はそうではないケースも多い。これにYoutube側は対処する必要があるのだが、現在は対応しきれていないのは明白。そして対応するということはYoutubeが得る収入が減る恐れがあるというジレンマがつきまとう難しい問題なのである。
社会からの規制
健全な動画を作っているユーチューバーは心配することは多くない。はじめは大変だが収益化出来れば広告が入り、広告単価は下がるが収入は得られる。問題は健全でない動画である。
今やYoutubeは一介の企業が提供するプラットフォームのレベルを超えており社会的責任を負う必要がある。広告主保護だけでなく視聴者保護を行う必要があり、今の未熟な監視システムでは社会の理解を得られない。
そうなると今までの歴史がそうであったように国から規制されることになる。Youtube側への改善だけでなく投稿者への罰則もあり得る。もちろん迷惑系ユーチューバーと言われる犯罪もしくは犯罪行為を行う投稿者には厳罰となるだろう。
アンダーグラウンド化
再生回数によっては億単位の収入が得られると周知されることとなった今、あらゆる犯罪の温床になる可能性は高い。いつの時代も人とお金が集まるところに犯罪は生まれる。
犯罪といっても軽微なものから甚大なものまでとなる。著作権などは重要であるが軽微な部類で明確な指針を作るか、これから起こるであろう多くの裁判の判決事例によって自然と決まってくるのが自然だと思うが、問題はYoutubeがアンダーグラウンドでの犯罪へのゲートウェイとして悪用されることだろう。
これは直接の広告収入というより集客のきっかけとして使われることで、現在はチャンネル登録者数と再生回数の数字があれば盲目的に投稿者を信用する視聴者が多いので有効な方法となる。そもそも犯罪ネットワークと多少のお金を使えば登録者数や閲覧回数などはある程度体裁を整えることは難しくない。
Youtubeに見るユートピア
Youtubeを収入を得る目的で行うのは全く悪いことではない。ただ2020年あたりから特に加熱しているこの状況はバブルであり、いつはじけるか分からない。しかもYoutubeだけを収益源とする場合は危険そのもので、Youtubeというプラットフォームだけに依存している場合はYoutube側の意向や方針次第で収益の増減やアカウントの存続にまでリスクを負ってしまうことになる。

本当にYoutubeは子供達が夢見るような場所なのか。もしかしたらそんなものは存在しないユートピアなのかもしれない。