
世界的なコロナパンデミックはフィリピンにも大きな影響を与えました。ただ観光が一つの主要産業であるフィリピンにとって外国人観光客を受け入れることは経済を活性化させる現実的な手段の一つです。ここでは世界最長のロックダウンを行ったフィリピンへ旅行する際に注意すべきこと、準備することをお伝えします。
フィリピンのコロナ渦
振り返るとフィリピンは世界でもいち早くコロナ感染拡大防止対策を行った国です。2020年3月15日にマニラ首都圏を陸路・海路・空路を事実上封鎖し、人々の移動を制限し、翌16日にはドゥテルテ大統領が国家災害事態宣言を発表しました。
この時期フィリピンの新型コロナウイルス感染者数、死亡者数ともに日本の半数以下で、日本ではまだ東京オリンピックの延期も決定されていない段階の出来事です。
しかし結果的にフィリピンは3月後半から徐々に感染者が増え、時間を追うごとにそのスピードが加速し最終的に東南アジアで最も感染者数の多い国となりました。
フィリピン旅行で注意すること
フィリピンの現在までのコロナパンデミックの状況を大まかに知ることはフィリピン旅行へ行く際に重要な情報となります。日本とフィリピンとではコロナに対する意識の違いもありますので、それによって現地で無用なトラブルに巻き込まれる、逆に意図しなくてもトラブルを起こすことも考えられます。それを避ける為に知っておくと役に立つことを解説します。
フィリピンの法令を遵守する
フィリピン国内の対コロナ感染防止対策の多くは強制力があります。日本でも様々な自粛要請などはありましたが、あくまで要請で従わなかった場合に直接的に処罰されることはないと思います。
しかしフィリピンの場合、要請というものは少なく、ほとんどが条令でになりますので、違反した場合は罰金、また場合によっては逮捕までされることもあります。実際にコロナパンデミック中にフィリピンに滞在していた複数の日本人が条例違反で逮捕された事例もあります。
これらを踏まえて旅行に行く際はフィリピンのルールに厳格に従う必要があります。そしてこの件で最も注意すべきことは、フィリピンでは各地方自治体で異なる条例があるということと、違反した場合に知らなかったでは済まされないということです。
従ってフィリピン旅行に行く際は目的地だけではなく、経由する全ての場所の大まかなルールを把握する必要があります。
マスクとフェイスシールド

事前に準備しておくべきものとしては、マスクはもちろんのこと、フェイスシールドも必要です。フィリピンではマスクをした状態でさらにフェイスシールドの着用が義務づけられている場所が多くあります。
フィリピンでも購入出来ますが、空港でも必要ですので、事前に日本で準備しましょう。また壊れた場合に備えて予備も用意しておくと安心です。※顔全体が覆われるものにしましょう。またフィリピンは暑いですので額に付けるタイプではなくメガネ式の方が快適です。
握手
フィリピンは他の外国と同様に握手をする習慣があります。ただしコロナパンデミックにより、握手は行わないという意識が高まっています。以前のように相手に握手を求めると相手は戸惑ってしまいますので注意しましょう。
ソーシャルディスタンス
相手と適切な距離を取るソーシャルディスタンスですが、フィリピンでは感染拡大防止策として重要視されています。ただフィリピンに到着して回りを見渡しても実際にはソーシャルディスタンスが守られていないと感じることもあると思いますが、警察が思い立ったように取り締まりを行うことがありますので、常に意識して違反のないようにしましょう。
外出禁止時間帯
コロナパンデミック中のフィリピンでは至るところで外出禁止の時間帯がありました。多くの場合夜間から早朝にかけてですが、滞在先に夜間の外出禁止令が出されていないか念の為確認しましょう。
飲酒禁止
飲酒に関しても各自治体の判断で公共の場での飲酒禁止を行っていた事例が多くあります。内容は終日禁止であったり、夜間外出禁止令の時間帯のみが禁止されていたりと様々ですが、こちらも念の為に事前にチェックしましょう。
公共の場の定義の中にはレストランやバーなどの飲食店も含まれることが多く、パンデミック中は多くのフィリピン滞在の外国人を中心に摘発されていましたので注意しましょう。
予定は柔軟に
フィリピンでは状況が変わる重要な発表が急に行われることがよくあります。前述した2020年3月の首都圏封鎖も急に発表され、準備期間もほとんどなく実施された影響で多くの混乱を生んだ経緯があります。
旅行予定を立てる時は余裕をもって何か起きた場合でもある程度柔軟に対応出来るように計画しましょう。
特に万が一フィリピン滞在中にコロナ感染の疑いを持たれた時は検査と同時に隔離施設へ移動させられる恐れがあります。その場合は陰性結果が出るまでは外出を制限されます。また、もし陽性だった場合には短くても1ヵ月は各自治体が指定した隔離施設から出られなくなります。※期間は症状と随時実施される検査結果次第。
身分証明書のコピー
コロナに関係なくても海外旅行中は身分証明書を常に携帯しましょう。普通の人であればフィリピン唯一公的な身分証として認められるパスポートがこれに該当すると思われますが、万が一の紛失に備えて予備としてコピーもとっておきましょう。
コロナ関連だけでなく何かが起こった時に外国人が身分証を持っていない場合は対応に遅れが出たり、別の問題を引き起こすことも考えられます。
病院について
フィリピンの首都圏には最先端の設備を備えた病院もありますが、地方へ行けば行くほど病院のレベルは低下します。フィリピンでは今回のコロナパンデミックで地域ごとにコロナ患者受け入れの指定病院を選んで対応していますが、念のため滞在先の指定病院がどこなのかを事前に調べておきましょう。また同様にコロナに関する緊急連絡先もありますので、感染が疑われた症状が出た際にはそこに相談するようにしましょう。
ホテル選び
フィリピンでは観光客向けの宿泊施設の衛生基準も強化しています。自治体によっては指定した条件をクリアしないと観光客の宿泊受入れが出来ないという場所もあります。そういった自治体は衛生基準を満たした各宿泊施設に証明書を発行するようになっていますので、それがあるかどうかもチェックしましょう。
証明書が必要にも関わらず、それを取得しないで宿泊客を受け入れていた場合、抜打ち調査があった場合は急遽移動を命じられる可能性もあります。
証明書を取得したホテルは宿泊客にコロナ感染の疑いがあった場合に備えてのガイドラインが定められていますので、前述した病院の件はホテルのスタッフに相談すればそのガイドラインにそって対応してもらえますので、指示に従って行動しましょう。
治安について
フィリピン経済は今回のコロナパンデミックで深刻なダメージを受けました。そしてそれは一般の普通に暮らすフィリピン人にも影響し、一時期は成人の失業率が40%にもなったと報じられました。
もともと治安が良いとは言えないフィリピンですが、経済的事情から以前よりも確実に治安は悪くなっています。特に外国人観光客はフィリピンに慣れていないことから標的にされることもありますので、十分注意する必要があります。
まとめ
フィリピンが観光客を受け入れると言っても、受入れ体制が完璧に整っているという意味ではありませんので注意しましょう。建設中のコンドミニアムが先行販売されたにも関わらず、何らかの問題が発生して結局工事が中断し、途中で全てが滞ってしまうことがあるように、観光客受け入れの件も細部まで体制が整っていない状態であると考えた方が良いです。
それらのリスクを考慮した上で、旅行を計画し、何かあった場合には適切な対応が出来るような情報収集を行うことがもっとも大切です。