自分の住む家や一人暮らしをする家族の住む家の防犯性は高いのか、もし低い場合の対策はどうすればいいのか、ということについて今回は家の入口である玄関扉に絞って解説していきます。
意外と多いのが無施錠
何者かに家に入られて金品を盗まれることを侵入窃盗と呼びますが、警視庁の統計によるとその手口で毎年約50%にもなるのが無施錠、つまり鍵の施錠し忘れにより侵入されているケースです。そしてその侵入窃盗時の家の状況は誰も家にいない空き巣が約68%、寝ている時の忍び込みが27%、家に起きている人がいる状態の居空きが5%という統計結果が出ています。
先ほど無施錠、つまり鍵のかけ忘れが侵入窃盗の原因の約50%とお伝えしましたが、誰かが家にいる在宅時に無施錠で忍び込まれたり居空きにあったりした場合もこれに含まれます。従って第一の対策は在宅時、不在時に関わらず常に鍵は施錠するということがまず基本になります。一番危険なのは空き巣で金品を盗られることよりも在宅時に泥棒と鉢合わせして危害を加えられることですので十分注意しましょう。では次からは玄関の鍵について解説します。
原則1ドア2ロック
「1ドア2ロック」というのは玄関扉に2つ鍵があることを言います。泥棒というのは侵入する前に必ず下見を行います。その時に鍵が2つあることはターゲットとなる可能性を減らす抑止力になります。泥棒の気持ちになれば鍵が2つある家より1つしかない家を選ぶのは当然ですし、鍵が一つしかないというのは家主の防犯意識が低いことを表している目に見える証拠にもなります。まず鍵が一つしかない場合は鍵の増設を行いましょう。
ちなみに戸建ての場合で勝手口などがある場合はそこのドアも1ドア2ロックにする必要があります。泥棒は必ず玄関扉から侵入するとは限りません。
鍵は多い方がいいの?
たまに玄関に鍵が3つも4つも付いている家がありますが、先ほどの1ドア2ロックで鍵は2つあれば十分です。それ以上は鍵が多くなり普段の生活で不便になります。
2ロックのキー(カギ)は違う種類の方が防犯性は高いの?
これはどんな種類のキーかによって一概に言えませんが、防犯性の高いキーの場合は2つのキーが種類が違った方が防犯性が高いということはありません。同じです。従って毎日使用することを考えると1本のキーで2つの鍵を操作できる方が楽です。一番大事なのは防犯性能の高い鍵がドアに2ヵ所付いている1ドア2ロックということです。
どんな種類の鍵がいいの?
一般的に鍵といっても以下のように大きく4種類に分類されます。
どの鍵がいいかという答えは3.のディンプルキーになります。4の特殊錠でもよいですが料金が高くなるデメリットがあるのと、実際にもの凄く防犯性が桁違いに高いという訳ではなく、防犯性と利便性が両立しているという考え方になります。
結論としては3.のディンプルキータイプで1ドア2ロックが玄関扉の理想的な防犯形態ということになります。※このタイプでも100%鍵穴から不正解錠されないということではありません。バンピングと呼ばれる不正解錠方法やその他の特殊な解錠方法も存在します。
まだまだ不十分
玄関扉の鍵の理想的な形態と書きましたがあくまで「玄関の鍵」という意味になります。防犯は玄関扉全体で総合的に行わないといけません。ではここからは鍵意外の防犯対策を解説します。
防犯サムターン
サムターンとは室内側から鍵を施錠する際の「つまみ」の部分のことです。普通のサムターンと防犯サムターンは見た目も異なりますが、一番簡単な確認方法はボールペンのような棒だけで操作できるかどうかでも判断出来ます。
防犯対策されている防犯サムターンは小さな突起がありそこを押しながらではないと操作できなかったり、棒で操作する時のようにつまみの片側だけに力が加わった場合に操作出来ない仕様になっていたりします。
外側を防犯性の高い鍵にしてもサムターン回しという手口で不正にサムターンを操作し鍵を解除される可能性がありますので防犯サムターンにすることが必要です。
ドアポスト(郵便受け)対策
現在でも侵入窃盗の手口として行われている一つが玄関の扉に付いているタイプのドアポスト(郵便物入れけ)から不正にサムターンを解除されることです。しかし通常大人の手では入りませんので手の小さい子供を使ったり、特殊な工具を使ったりします。従って玄関扉の外側の郵便物入れの開口部からサムターンまで何も障害となるものが無い場合は対策を行う必要がります。
※ただし1ドア2ロックの場合はそこまで神経質になる必要はありません。理由は1ヵ所の鍵を不正に解除されてももう一つの上の方の鍵は遠くて子供の手や工具が届かないことが多いからです。
バールこじ開け対策
泥棒の侵入窃盗の他の手口としてバールを使っての玄関扉のこじ開けというのがあります。これはバールという工具を使って施錠されている玄関扉とその枠の間を無理やりこじ開けるという方法です。1ドア2ロックの場合も時間は多少かかりますが手慣れた犯人の場合は簡単に時間もあまりかからずに行う場合があります。
対策は防犯プレート
バールこじ開けの対策は玄関扉と枠の隙間を専用のプレートでカバーすることです。古いアパートや戸建て以外は最初からカバー付きの玄関扉になっていることがありますが、見分け方は玄関の外から扉を正面にして見て、鍵のカンヌキ(カギを施錠すると出てくる四角い金属部品の一部)が見えるかどうかです。見える場合はバールこじ開けに対して未対策で、見えない場合はバールが入る隙間がありませんので対策済みとなります。
ドアレンズ(ドアビュー)
先程サムターン回しについてお伝えしましたが、玄関のドアについている小さなドアレンズは外側から簡単に外れて、そこから特殊工具を入れられる可能性があります。これについてはこの記事で詳しく解説していますので確認して下さい。
その他
玄関扉の防犯の一部になりますが、ドアチェーンとドアガードに関しても知っておくべき知識があります。これについてはこの記事で確認して下さい。
まとめ
今回は自宅の玄関扉全体の防犯対策、防犯強化についてお伝えしました。まずは防犯性の高いディンプルキーで1ドア2ロックにし、サムターン回し対策として防犯サムターンに取り換えを行い、バールこじ開けの為に防犯プレートも付け、ドアポストがある場合は確認します。最後にドアレンズとドアチェーンやドアガードについての正しい知識を得て防犯上問題のない使い方をする、ということが1セットとなります。これを全て行い、施錠し忘れることがなければ99.9%玄関扉からの侵入窃盗を含む不正侵入は防ぐことが出来ますので安心して生活することが出来ます。