
フィリピンで日本人を含む外国籍の者が就労する場合は外国人労働許可証の取得が義務付けられています。今回はこれについて解説を行います。
AEPとは
AEPとはAlien Employment Permitの略になります。その名称の通り、外国籍でフィリピンで就労する場合には必要になりますが、これを取得せずに働いている場合は違法就労になり罰則の対象となります。
労働ビザとは異なる
よく混同されますが、AEPは許可証であり、労働ビザとは異なります。労働ビザは査証(ビザ)で同一で考えることは出来ません。ただし、労働ビザを取得する過程で、このAEPの取得が必要となります。一部のビザ(リタイアメントビザ等※1)の保持者はこのAEPを取得するだけで就労が可能です。
考え方としては、リタイアメントビザ保持者は既にフィリピンに移住する資格を持っており、住むということは仕事をして収入を得ることも当然想定されますので、AEPは取得の取得も比較的容易になります。
労働ビザの場合はフィリピンで働くために取得するビザとなりますので、その過程でこのAEPは必要となります。そしてAEPを取得した上で労働ビザの申請が必要になります。
AEPが必要なケース
フィリピンで就労する全ての外国籍の者で、その期間が6ヵ月を超える場合に取得が必要になります。6ヵ月を超えない場合はSWP(Special Work Permit)が代わりに必要となります。
フィリピン英語留学等でインターンや0円留学をしている場合も基本的には同様になります。
AEP取得方法

まずは申請が必要となります。その手順は、まず管轄する地域のDOLEオフィスで最新の申請用紙を取得します。そしてそれに記載されている必要書類を用意し、DOLEに提出した後に担当と面接、申請料金の支払い、約2週間の公示待機期間の後、申請が受理されればAEPが発行され、AEPのカードを受け取ることが出来ます。
申請料金はLAND BANKという銀行のみで可能です。

必要書類が受理された後に、振込先情報が書いてある支払い用紙を渡されます。それを持ってLANA BANKに行き、窓口で支払いを行います。その際に控え(CASH DEPOSIT SLIP)を1部コピーし、控えの原本とそのコピーした1部を持ってDOLEに行き、支払いを証明します。原本はDOLEが受取り、コピーは申請者用控えとなります。
必要な申請書類等
- 記入済みAEP申請書(Alien Employment Permit Application)※A ※B
- 証明写真(2インチ×2インチ・背景白)
- パスポートの顔写真ページのコピー
- パスポートの査証(ビザ)ページのコピー
- 雇用契約書(Contract of Employment/Appointment)の原本※B
- メイヤーズパーミット(Mayor’s Permit)のコピー※C
- DTI(Department of Trade and Industry)のコピー※C
- 申請者本人以外が記入し申請する場合はレター(Authorization letter)が必要になります。
※B:公証人によって署名がされた原本が必要です。弁護士事務所で手続き可能です。
※C:コピーが本物(原本)から複写されたという証明スタンプ付きのコピーが必要です。市役所とDTIオフィスでそれぞれCertified True Copy を貰うようにしましょう。
上記の必要書類は合計3部用意し、それぞれをファイル等にまとめましょう。その内2部はDOLE、残り1部が申請者用として返却されます。その際に〇月〇日に受領したという書類もDOLEから渡されます。

申請料金
新規申請で有効期間1年の場合は9,000ペソとなります。内訳は以下の様になります。
公示料金 4,000ペソ
出願料金 1,000ペソ
有効期間分料金(1年)4,000ペソ
合計 9,000ペソ
申請する有効期間は雇用契約書と同じ期間である必要があります。雇用契約書の契約期間が1年の場合は有効期間が1年のAEPを申請するようになります。
面接について
新規申請の場合、基本的に地域のDOLEオフィスの担当との面接があります。面接は特に難しいことは質問されませんが、基本的に英語で行われます。現地のローカル言語が話せる場合はそれで面接も可能です。服装の規定等はありませんが、最低限のマナーとして、長ズボンと靴(サンダルは不可)を着用しましょう。上は出来れば襟付きだとより良いです。

質問内容
担当によって異なる場合がありますが、基本的に雇用契約書に記載されている内容について行われます。従って、自分の給与額や、福利厚生、業務範囲はしっかりと間違えずに答えられるようにしましょう。誤った回答は不信感を持たれる原因となります。
公示・待機期間
面接終了後にすぐにはAEP取得の可否は分かりません。面接後、約2週間はDELEからの連絡待ちの期間となります。その2週間の間に申請者の情報が公示され、外部から異議申し立てが可能になります。またそれと並行してDELE内で次の担当、最終担当の確認が行われます。全て問題なく順調に行けばAEPが発行されます。
注意点
AEP申請は、準備やその発行までの期間を計算して、雇用契約書の雇用開始日を設定しましょう。発行を待っている間に雇用期間が始まった場合はAEP未取得状態での就労とみなされ罰則の対象となります。
更新の場合は有効期限が切れる60日前から申請が可能です。通常2週間程度の期間があれば問題ありませんが、念のためなるべく早めに更新手続きを行う方が安心です。
なおAEP未取得で就労した場合は本人、雇用主共に罰則の対象となります。また悪質な場合は厳しい処置も考えられます。
AEPが発行された場合は、発行日から10日以内にTINナンバーを取得する必要がありますので、こちらも注意しましょう。
まとめ
フィリピンではよく外国人による不法就労での摘発のニュースを目にします。その規模や違法性にもよりますが、強制送還、ブラックリスト入りによる再入国が出来なくなるというケースにも発展しています。

また給与を得ていないという理由から、違法と認識せずに働いているケースもありますので、自分がどのような立場なのかをしっかり判断することが必要です。
近年の傾向としては、そういった外国人による違法就労への摘発の強化、また新規AEP申請においてもより厳しい審査を行うようになっております。
またAEP保持者がいる会社や個人事業主へは各種法令を順守しているかの抜き打ちチェックが行われることもありますので、AEP取得後もしっかりフィリピンの法律を遵守しながら働きましょう。